- 単元
- フラッグフットボール
- 単元目標
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- ゲームの行い方を知り、ゴールにボールを持ち込んだり、相手がいないところに動いたりして、フラッグフットボールができるようにする。
- チームの課題を見付け、ルールを工夫したり、作戦を選んだりして、自分で考えたことを伝え合う。
- 友達の考えを認めたり、勝敗を受け入れたりして、進んで運動する。
お悩み
本学級では児童の運動経験に大きな差がありました。部活動で頻繁に運動している児童がいる一方で、ほとんど運動をしていない児童も少なくありません。特に、運動経験が乏しくチームスポーツの経験がない児童にとって、作戦を一から考えることは難しく感じられます。そこで、この困難を解消するために、生成AIが役立つのではないかと考えました。
以前4年生の担任として、体育科でチームスポーツの指導をした際、やはりチームスポーツの経験がある、運動能力の高い児童が主体的に作戦会議に参加したり、チームを引っ張っていったりする様子が見られました。一方で、スポーツ経験の乏しい児童は、活動中の発言が少なく、作戦会議等にあまり積極的に参加することができていなかったように感じていました。例えば、児童が練習や試合を行う中で感じた、チームの得意なことや苦手なことを記述・蓄積し、それを生成AIを用いて要約したものを子どもたちに配付することで、スポーツの経験のない児童にとっても作戦をつくる手がかりになるのではないかと考えました。
学習の流れ
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第1時
フラッグフットボール協会の動画を見て、フラッグフットボールのルールを理解する。 -
第2時
- 「走ること」に関する授業を1時間行い、より多く得点を取るためには、どのように走ればよいかを練習や試合を通して考える。
- 「走ること」に関して、チームの得意・苦手なことを各自でトラビに記入する。
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第3時
- 「パスすること」に関する授業を1時間行い、より多く得点を取るためには、どのようにパスをしたり、パスを受けたりすればよいかを練習や試合を通して考える。
- 「パスすること」に関して、チームの得意・苦手なことを各自でトラビに記入する。
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第4時
- 「おとりの使い方」に関する授業を1時間行い、より多く得点を取るためには、どのようにおとりを使えばよいかを練習や試合を通して考える。
- 「おとりの使い方」に関して、チームの得意・苦手なことを各自でトラビに記入する。
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第5時
- テーマ(走ること・パスすること・おとりの使い方)ごとの「チームの得意なこと」「チームの苦手なこと」を教師が生成AIで要約し、児童に提示する。
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教師が提示した要約をもとに、「チームの得意なこと」を3つにまとめ、優先順位を付け、3つの作戦を立てる。
- 教師が提示した要約をもとに、「チームの苦手なこと」を2つにまとめ、優先順位を付け、苦手なことを克服するための練習を選択し、練習動画を見る。
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第6時
- 5時間目に選択した練習メニューを2種類行う。
- 5時間目に立てた作戦の練習を行う。
- 試合を行う。
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第7~9時
- 試合を行う。
- 試合の振り返りをトラビに記入する。
学習の様子
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フラッグフットボール協会の動画を視聴させ、競技の大まかな流れやルールを理解させるとともに、フラッグフットボールは作戦が非常に重要な競技であることを伝えました。
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フラッグフットボールにおいて重要な技能である「走ること」「パスすること」「おとりの使い方」の3つに焦点を当て、それぞれ1時間ずつ授業を行いました。これには2つの理由があります。1つ目は、子どもたちに振り返りとしてチームの得意なことや苦手なことを記入させる際、項目を絞ることでチームの特徴を捉えやすくなり、分析する材料となる記述量が増えると考えたためです。2つ目は、トラビで生成AIによる分析を行う際、項目ごとに整理した方がより多くの記述を分析でき、結果として作戦立案に有効な、精度の高い分析につながると考えたためです。
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トラビに蓄積したデータをもとに生成AIによる分析を行い、その結果をもとに作戦や練習メニューを考えました。分析は、箇条書きでの要約を行いました。まず、チームの得意なことについて、「走ること」「パスすること」「おとりの使い方」の3項目ごとに児童の回答をチーム単位で生成AIで要約し、その結果を紙媒体で配付しました。子どもたちは分析結果を読み、チームの得意なことの優先順位をつけて3つ選択しワークシートに記入し、それらを生かした作戦を3つ考えました。チームスポーツの経験が乏しい児童にとっては、チームの強みが理解しにくかったり、運動に関する自分の考えに自信をもって発言することが難しかったりすると考えます。生成AIという第三者の分析結果を通して、チームの得意なことを客観的に把握することができるとともに、自信をもって発言することができるため、この分析結果が作戦立案の足がかりになったと考えられます。作戦を立てる際には、ホワイトボードやマジック、名前を記入した磁石などを用い、図で表しながら動きや作戦を視覚化し具体化していきました。
次に、チームの苦手なことについても同様に、3項目ごとに生成AIで要約し、その結果を紙媒体で配付しました。子どもたちは分析結果をもとに優先順位をつけ、チームの苦手なことを2つワークシートに記入した後、それらを克服するための練習を選択しました。練習メニューについては、事前に練習方法を撮影した動画を作成しておき、その中から選択させる形を取りました。 -
まず前時に選択した2つの練習メニューを実践しました。自分たちの課題を克服するために自分たちで決定した練習であるため、児童が意欲的に取り組む姿が見られました。その後、実際の試合コートを用いて立てた作戦の動きを確認しました。体育館では2コートしか確保できないため、チームごとに交代で行いましたが、作戦練習を通して理解を深め、自分の役割や動きを明確にしていったと思います。最後に試合を行い、第5時で考えた作戦を実践しました。試合後には、「試合でうまくいったこと」「うまくいかなかったこと」をそれぞれトラビに記入し、振り返りを行いました。
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前時の振り返りを生成AIで要約し、その結果を紙媒体で配付して作戦会議を行いました。その際、振り返りの内容をもとに作戦を改良するよう指示しました。回を重ねるごとに自分のチームの得意を伸ばした作戦や、前時の失敗を生かして、より動きを明確化した作戦となり、高得点を取ることができるチームが増えていったと感じています。
また、第9時では事後アンケートを実施しました。
- シートの種類
- 継続的な記録のシート
- 質問文
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- ○○について、今日のゲームでどのような動きが得点につながったのだろう。
- ○○について、チームの苦手ポイントはなんでしょう。
- 生成AI
- 各チームの回答を要約(箇条書き形式)
活用の効果
経験だけでなく情報を手がかりに作戦会議
第7~8時では、導入場面で、前時の試合後にトラビに入力した振り返りを要約したものを紙媒体で配付し、作戦会議を行ってから授業を始めました。子どもたちは、分析結果を見ながら「試合で○○がうまくいかなかったから、今から○○の練習をしよう」や「この作戦はうまくいったから今日もこの作戦でいこう」など、分析結果をもとに練習や作戦を選択し、実践する様子が見られました。また、第5時の作戦会議の様子を観察する中で、もちろんチームスポーツの経験のある児童が話し合いを引っ張る姿は多く見られましたが、同時に経験の少ない児童も多く発言している様子も見られました。特に、「(分析結果の紙を見て)ここに○○と書いているよ」「得意なことは○○かな」と、分析結果の情報を手がかりに発言する様子が多く見られ、生成AIによる分析結果があった事で自信をもって発言できたのではないかと考えます。また教師側としても、第2~4時の分析結果をもとに、より子どもたちの苦手に合わせた練習メニューを考案したり、よい動きをした児童の記述が分析結果にあれば、その児童の動きを称賛する声掛けを行ったり、児童の実態把握と授業作りの参考になりました。
また、授業前に実施した事前アンケートと、単元終了後の事後アンケートを比較し、t検定(※1)を行ったところ、「効果的な作戦を立てることができる」という項目において、肯定的な回答が増加したことが分かりました。このことから、本実践により、児童が作戦を立てる力が向上したと考えられます。また、児童の振り返りの記述には、「AIを使うと作戦が立てやすかった」「チームの特徴がよく分かった」などの意見が多く見られました。これらのことから、生成AIを活用してチームの特徴を把握したことが、作戦立案のしやすさにつながったと考えられます。
苦手を明確化し、共通の課題意識で練習に取り組む
単元終了後の児童の振り返りには、「チームの苦手なことを知ったことで、練習してキャッチボールやボールを隠して走ることが上手になった」や、「(分析結果に示された)苦手なことが全部あっていたので、もっと練習して得意なことにしたい」といった記述が見られました。これらの記述から、生成AIを用いてチームの苦手なことを明確にしたことで、児童が自分たちの課題を意識しやすくなり、課題の克服や授業への意欲の向上につながったと考えられます。
要約結果を見て、「パスすること」において、キャッチをすることがうまくいかないこと、パスが苦手であることに気付いたA児は、チームとしてパスの練習に重点を置く意識をもって練習に取り組み始めました。グループの話し合いでもボールの投げ方や受け取り方を意識した発言が見られ、チーム全体としての問題意識が共有されていたと思います。A児の感想に「ボールを投げるのがうまくなって嬉しい」という記述がみられ、自身やチームの成長を実感していることが読み取れました。
活用時のポイント
記述を生成AIで分析する際には、データ量(文章量)が少ないと分析の正確性が低下するため、振り返りの記述においては、気付いたことをできるだけ多く書くよう児童に声を掛けました。
また、本単元に入る前に、生成AIの長所と短所についてChatGPT®を用いて説明を行いました。具体的には、アイデアを多く提案できる点や、迅速に回答が得られる点といった長所を伝えるとともに、実際に質問を投げかけ、その回答の一部に誤りが含まれている例を示すことで、生成AIが必ずしも100%正確ではないことを理解させました。
広がる活用シーン
体育科の他のチームスポーツにも、同様の手法を応用できると考えられます。例えば、ポートボールやキックベースボールなどのチームスポーツにおいて、チームの得意な点や課題を児童に記述させ、その結果をもとに作戦や戦術について話し合う活動が考えられるのではと思います。
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