身に付けさせたい資質・能力をつなげる
- 単元
- 自動車生産を支える人々
- 単元目標
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- 自動車生産に関わる人々の工夫や努力について理解し、様々な資料を通して情報を適切にまとめる技能を身につけるようにする。
- 自動車生産に関わる人々の工夫や努力について、多角的に考える力、考えたことを説明する力を養う。
お悩み
社会科の学習の中で、児童たちと単元を貫く学習問題をつくる場面がありますが、うまく児童の考えをまとめることができずに、結局、教員主導で学習問題を決めてしまうことが多く、児童主体の学習問題を作りたいのに、それができないことに悩みを持っていました。
社会的事象に対する児童の素朴な疑問を尊重しながらも、身に付けさせたい資質・能力に向かうための指導者の意図をどのようにつなげるか悩んでいました。
実践にあたって
児童の疑問を集約する方法として、トラビを活用した生成AIの分析を行うことで、児童の疑問を類型化できる点に着面しました。 これにより、本来ならば一人一人の児童の疑問を教員がチェックして、まとめなければなかったものを、生成AIが類型化することで今までよりも多くの児童の疑問を反映した学習問題をつくりやすくなると考えました。
社会科という教科の特性上、一つの社会的事象に対して様々な疑問が思い浮かぶことから、それら一つ一つを授業中に拾い上げたり、身に付けさせたい資質・能力に合うように教員が方向修正することに難しさがありました。 その過程がなければ、社会科はどうしても教員の教え込みになってしまい、児童が疑問意識をもって自ら解決したいという意欲がわきづらいと考えています。
学習の流れ
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第1時
- 昔と今の自動車生産について知る。
- 自動車のつくり方の違いについて知る。
- なぜそのように自動車生産は変化したのか、調べたいことは何かを考え、トラビに入力する。
- トラビの回答内容を生成AIで要約する。
- 分析結果から、疑問を解決するための学習問題について全体で考える。
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第2~8時
自動車生産に関わる人々の工夫や努力について調べる。 -
第9時
自動車生産に関わる人々の工夫や努力についてまとめる。
学習の様子
まず、昔と今の自動車は何が違うのかを児童と調べました。 そこから、今の自動車は丈夫になっていることや走る距離が長くなっていること、さらに自動ブレーキなど便利になっている要素があることに気付きました。
次に、自動車のつくり方の違いについて調べました。昔は、車を置いたまま作業をしているが、今は流れ作業でできるようになっていることに気付きました。また、それに伴い生産台数も今の方が多いことに気付きました。
このように、自動車生産がどのように変化しているのかに触れた後に、なぜそのように自動車生産は変化したのか、調べたいことは何かをトラビに書き出し、それらを生成AIで分析することで、児童の疑問を類型化し、疑問を解決するための学習問題は何だろうかと全体で考える過程で生かしました。
具体的には、「自動車をつくる部品に対する関心」「なぜ、昔の車は生産量が低かったり、部品が少なかったりしたのだろうか」「なぜ、自動車は変化したのだろうか」といった多様な疑問が類型化され、こうした疑問に対して、共通することは何だろうかと児童へ発問しました。 すると、技術の進化が関係しているのではないかという意見が出されました。これをもとにして、自動車を多く生産したり、技術の優れた自動車をつくったりするための技術はどのようなものなのかを調べることで、クラスの疑問が解決できるのではないかと児童と意識を共有することができました。 そこから「自動車を生産する人々が、性能を上げたり、大量に生産するための技術にはどのようものがあるのだろうか。」という、児童の意見が反映された学習問題を作成することができました。
- シートの種類
- 単発のシート
- 質問文
- 今日の授業を受けて調べてみたいと思ったことを教えてください。かじょう書きでもいいです。
- 生成AI
- 学級全員の意見を要約(箇条書き)
活用の効果
児童の疑問を拾い上げながら単元の目標に向かう
アプリを使ったことで、自動車生産に関わる人々の工夫や努力について調べるという単元目標に対して、単元を通して児童の疑問に触れながら学習を進めることが今までよりもできるようになりました。 従来は、単元の最初に児童の疑問を出してもらうことはしていましたが、一人一人の疑問が多様なためまとめることができず、結局教員の教え込みとなっていました。
また、自動車生産に関わる人々の工夫や努力を調べるという目標とは外れてしまう疑問(「自動車のできた歴史」など)は、自主学習で調べるように児童に促すなどして認めながらも、 今回の単元では「今の日本で自動車をつくっている人の工夫や努力について調べるとしたらどうだろうか?」と単元の目標に自然と向かうための助言を児童に行うことができるようになりました。
様々な意見に出会うことができる
生成AIを活用しその結果を見たことで、児童たちは単元の目標とは少しずれるが「自動車の歴史に多く興味を持っている人がいる」といった多数派の意見に気付く機会や、少数ながらも「なぜ、日本の自動車生産量は多いのだろうか?」や「なぜ環境を気遣った車が多いのだろうか?」と、 単元の目標に向かうために必要な疑問に気付くことができ、児童の疑問を尊重しながら、学習問題を考えることができるようになりました。