外国語への抵抗感を減らし、単元の導入を主体的に
  • 小学校6年生
  • 外国語
茨城県潮来市立延方小学校 髙口 典
※掲載内容は、2025年8月時点のものです。
単元
中学校でやりたいことや将来の夢を伝える
単元目標
  • 将来のことについて、基本的な表現を用いて聞いたり話したりすることができる。
  • 中学校で挑戦したい部活動や将来の夢について、モデル文を手がかりに読み取ったり、簡単な文で書いたりすることができる。

お悩み

外国語科の学習においては、デジタル教材を使用しながら授業を行っており、単元開始時には動画を視聴し、学習のゴールを確認することができるようになっています。ところが、他教科と比較すると、「何ができるようになればいいのか」「どのような事柄を身に付ければいいのか」といった到達目標について具体的に児童と話し合い、共有することはあまりありませんでした。そのため、毎時間の学習は楽しみながら取り組むものの、学習のゴール(スピーチやプレゼンテーション)と結び付いていることを意識している様子はなく、明確な目的意識をもたずに漠然と学習が進んでいました。

個々に聞き取りを行っていると、多くの時間を要する上に把握することも難しく、まとめる作業や板書にも時間がかかってしまいます。

学習の流れ

  1. 第1時

    1. 「Our Goalから、学習の見通しをもとう」というめあてを確認する。
    2. 目標となる動画を視聴する。
    3. 聞こえた英語を手がかりに、分かったことをトラビで回答する。
    4. 生成AIで回答内容を要約し、学級全体で内容理解を行う。
    5. 再度動画を視聴する。
    6. これからの学習で身に付けたいことをトラビで回答する。
    7. 生成AIで回答内容を要約し、学級全体で単元の到達目標について共有する。
  2. 第2~10時

    単元の到達目標を意識し、単元の内容に関して活動を進める。

学習の様子

外国語科における習熟度に個人差があるため、トラビの設問を2つ用意し、内容理解を丁寧に行った上で到達目標についての話し合いを行いました。
まず、動画を見せた後、聞こえてきた英語を手がかりに分かったことをトラビに列挙させ、生成AIによる要約を箇条書きにしたもので内容理解を行いました。次に、見せた動画について「単元の最後にこのようなやりとりをするよ。これからの学習で、できるようになった方がいいことや、身に付けた方がいいと思うことは何かな。」という投げかけを行い、再び動画を見せました。その後トラビに列挙させ、同じく生成AIによる要約を箇条書きにしたもので単元の到達目標について共有しました。
また、第2時以降も、第1時でまとめたものに触れ、目的意識が継続するよう工夫しました。


シートの種類
単発のシート
質問文
  • 動画から分かったこと(話していることの内容)
  • できるようになった方がいいと思うことや身に付けたほうがいいと思うこと
生成AI
学級全員の回答を要約(箇条書き形式)

活用の効果

意見の出しやすさが導いた、目的意識の強い学び

まず、生成AIの要約機能により各自が聞き取った情報を短時間で集約できるため、動画の視聴に十分な時間を確保することができました。加えて、英語の聞き取りに自信がもてない児童も多く、自分の意見を述べることに抵抗のある様子が見られていましたが、タイピングでの回答によって抵抗感がなくなり、挙手による回答よりも多くの意見が挙がりました。動画から分かったことをトラビで列挙し学級全体で共有することにより、受け身になりがちな導入が主体的に考え意見を述べる雰囲気に変わりました。

また、単元のゴールに向かう過程について、児童の意見を反映させながら共有することができました。外国語科の学習は、ジェスチャーゲームやスリーヒントクイズなど児童が楽しむことのできる活動を取り入れることが多く、ゲーム性が高く他教科に比べても活気のある授業となります。しかし、今まではその目的について児童に意識させ続けることができていない現状もありました。
今回は、自分たちで見つけた、考えた、という実感から、その後も単元の到達目標を普段よりも意識しながら学習に臨むことができました。

広がる活用シーン

他教科でも、ゴールをイメージさせ、その過程にどのような学習活動が必要か、どのような力を身に付ければよいのか、意見を集約するのに役立つと思います。